娘に会いに行く

わしはバカじゃ。何も娘の悩みをわかっておらんかった。
二日たち、療養所に見舞に行く。部屋には娘はおらんかった。午後は作業があるからとのこと。

邪魔にならんように、中央広場まで歩く。静かなところじゃ。空気は澄み渡り、繁華街の喧騒はここにはない。草のムンとした匂いが足元の芝生から漂う。
娘は、健気にうごいとった。茶髪のあいつは遠目からすぐわかる。班長みたいね長身の女性と楽しそうに話しておる。草を刈っておるようじゃった。

わしはそのまま帰って来た。それ以上そこにいる意味もなかったし、草の匂いを嗅ぎながらわし自身が娘の悩みであったことを忘れておった。
娘の笑顔を見れて十分じゃ。妻は面接にでかけておる。
帰宅したら、元気じゃった、とだけ伝えよう今度は妻と一緒に弁当こさえて娘に会いに行こう。

それまでわしは、がんばる。働かなければなるまいて。まだまだ隠居は許されないようじゃ。

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